『DIGGER/ディガー』感想:一言でいうと
『DIGGER/ディガー』(2026)を劇場鑑賞。予告編で見たバカっぽい政治風刺コメディを期待していたら、まさかの仕掛けにマジクソびっくり。正直、面白かったというより「騙された!」という驚きの方が強く残る作品でした。
良かったのは、物語の正体が少しずつ明かされるトリッキーな構造。一方で、独特すぎる不快な音楽はかなり人を選ぶし、トム・クルーズの演技も自分には評価が難しかったです。
以下はネタバレありで、舞台劇の仕掛けや結末まで触れます。未鑑賞で驚きを残したい方はご注意を。
製作
2026年アメリカ映画
監督
アレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ
・アモーレス・ペロス
・バベル
・BIUTIFUL ビューティフル
・レヴェナント: 蘇えりし者
キャスト
2026年10月23日劇場鑑賞
2026年39本目
広告
ネタバレ:騙された?入れ子構造の映画
予告編では風刺政治コメディと思えた『DIGGER/ディガー』。
主演にはアクション映画が多いスター俳優のトム・クルーズ。
『トロピック・サンダー』のハゲたデブのプロデューサー以来の、デブハゲメイクで、大統領にも影響力のある石油王を演じるかと思いきや?
という作品です。
前売り券にポストカードが付くということで、最近ポストカードファイルを入手したこともあり、せっかくなので買ったわけですが、まさか批評家評価が低いとは。
Rotten Tomatoesでは批評家評価53%に対して、観客評価は77%(2026年11月1日時点)。日本でも公開初週の週末観客動員ランキングは7位という結果で、初週を逃すとなかなかに観づらい感じで困りました。
しかし観客評価は割と高いという意外な作品なわけですが、鑑賞してみると久しぶりにびっくりしました。
早速ネタバレですが、本作、入れ子構造の映画。
予告編でのバカな感じがずーっと続く不快でヘンテコな映画かな?と思ったら、
それが舞台パートだったという設定が、序盤で判明。
なにも知らなかったのでマジクソびっくりしました。
2023年のウェス・アンダーソンの映画『アステロイド・シティ』に近い構造と言えるかもしれません。
こっちは冒頭にこれから描かれるのは舞台って最初に明かされますが、今作は予告で伏せてたわけで、さすがにイニャリトゥ監督。
かなりトリッキーでした。
確かにディガーが動く世界にはどこか歪さがあって、ヨルゴス・ランティモス監督の2023年の映画『哀れなるものたち』のような絵画的な世界観はあったわけです。
しかしこの入れ子構造はそれだけではないわけです。
この舞台を上演しようとしてる世界そのものにもトリックがあり、それが徐々に明かされていくという構造の映画という巧みすぎる作風。
ネタバレ:近未来ディストピア映画
作品としては、ディガーという石油王が主人公の舞台をやるわけですが、
このキャラクターは映画の世界では実在したキャラクターだったというわけ。
舞台ということで映画の中の創作のキャラかなと思ったら、彼は実際にいた。
このカオスで老人の特権階級者が既得権益のために地球の未来を壊すというアホ過ぎる悪ふざけのような事態は、脚色されてはいるものの実際にあったことというのが映画の後半の終わりぐらいに明かされるわけ。
北極の氷河の底からメタンが噴き出して石油を掘る機械ごと爆発した挙句、壊れた氷河が大移動したせいでヨーロッパは津波による大災害。
さらにはロシア方面からもアメリカ方面へ氷がいっちゃって大津波。
挙句に核汚染物質を含んだ氷への核攻撃で汚染が広がり、氷に封じ込められたメタンの影響でますます地球の温暖化は加速という地獄すぎる未来。
カルト舞台となっていたディガー主役の舞台が超大掛かりになって甦るというわけ。
トム・クルーズが演じたのはディガーを演じるこだわりの強い舞台俳優。
コメディながらもディガーという人物をリアルに演じたいというこだわりの中、実の娘が乗った飛行機が嵐により行方不明になるという不遇極まりない状態。初日前の通しリハーサルで精神的に追い詰められながら、ディガーを演じきるという変な映画。
舞台でのディガーの描き方にブチギレ出すトム・クルーズ演じるカーティスたちを仲裁したのは、実はディガーの甥だったケニーという意外な展開。
この舞台を再演した意味を説いて、丸く収めて舞台は大成功を収めるものの、外には地獄のような汚染された大地が広がり、兵士やドローンが行き交う一方、壊れたロボットが山積みになっていて、ディガーたちがアホやって戦争になった未来を感じさせて終わりを迎えるというかなりイカれた映画でした。
トランプ政権への風刺をやりたかったのかなぁと思うけど、2026年の現実は風刺が笑えなくなるほど異常な感じ。そんな現実まで入れ子構造の舞台劇で描こうとしたのか??難解過ぎる。
しかも舞台名もディガーじゃなくて『化石の愚者(Fossil Fools)』という映画とは違う名称なのもずるいわ。
独特すぎる不快な音楽と音響
今作正直あまりにも歪で、独特な映画だなぁってすっごく感じました。
その理由は、音楽かなぁって??
そもそもこの映画の感想書くのってすっごく難しいなぁと思います。上手く書ける自信もなく、寝かせてしまったところはあります。
映画の中身が入れ子構造で、舞台パートとドラマパートがあるわけで舞台パートも舞台パートでメタ的な構造やトリックが多いんです。
ディガーの家と欧州議会の議場が繋がっているし、なぜかディガーの家は雨漏りをしている。
舞台っぽい演出と映画的なメタファーなのか?舞台がメタ的な構造なのか?すごく意味を考えるのが難しい。
映画には雨漏りの音、野生動物の声などなど、やたら環境音が響く。音楽もアンビエントとも言えるし、コンテンポラリーミュージックのようでもあって、めちゃめちゃ独特。
類似映画は『哀れなるものたち』なんだけど、あっちよりも不快。これがなにを表しているのか?が非常に読み取りづらいのもきつかった。
ちなみに音楽を担当したのはコスモ・シェルドレイク。イニャリトゥ監督は、絶滅危惧種の鳥の鳴き声をサンプリングした楽曲を気に入り、本作への起用を決めたそうです。音響制作にも約1年をかけたとのことで、あの奇妙な音作りには相当なこだわりがあったようです。
疑問:トム・クルーズの演技は評価されるのか?
久しぶりにアクションスターではなく、俳優として勝負したトム・クルーズという印象ですが、果たしてこの演技は評価に値するのか?
映画は8:2ぐらいのバランスで、舞台パートと舞台裏のドラマパートに分かれていました。物語が進むにつれて作品の正体が明かされる構造のため、キャラクターが真実を明かすための装置になっていたように感じました。
トム・クルーズは、特殊メイクでハゲて太ったディガーを演じるベテラン俳優を熱演したと思うのですが、あまりにも装置になってしまって、俳優としての技量が全く見えてなかった。
なんか惜しいなぁって思った。
逆にドラマパートの登場がなかったリズ・アーメッドの方が俳優としての演技力が垣間見えてしまってる感じ。
せっかく近年アカデミー賞を賑わしたザンドラ・ヒュラーも出てるのに舞台パートの装置で中身がなく可哀想でした。
ジョン・グッドマンも舞台だけの登場で怪演しましたが、演じてるキャラがあまりにもカルト舞台系の狂気キャラなので、ここも同じくなんか微妙。
しかし随分やせ細りましたねぇ。
hisSCORE
・脚本のユニークさ、濃さ、テーマ性 6.6/10
・映像のアプローチ 7/10
・映画の美術面 6.7/10
・キャラクターの魅力 6.5/10
・音楽 5.5/10
・上映時間と個人的趣味 7.3/10
68点
非常に評価の難しい映画だなぁと思いました。
面白いと言えば面白いんだけど、構造と予告戦略的にも楽しむより驚いたという感じ。
自分が鑑賞した回では、途中で退出するお客さんもいた。
この映画の正体が最後まで明かされる前に去ったので、それはそれで驚きだなぁと思う。
関連記事
ネタバレ あらすじ
最後に:ご訪問ありがとうございます
関連商品

広告















